活動紹介−旭民報

【25.09.25】公民館使用料には社会教育の視点 を!

※ しんぶん赤旗に、尾張旭市内で折り込んだ、旭民報809号の記事です。

 すでに紙面でお伝えしているところですが、9月市議会には、公民館などの複数の施設使用料の値上げ案が提案されています。人件費や物価高騰の影響もあり、値上げの検討はやむを得ないことでもありますが、行政機関として、市民の収入、給与や年金が物価高騰に見合うところまで上昇するのを待てないものでしょうか。

地区公民館使用料を無料とする自治体もある

 施設の使用料を考える上で参考にならないかと『公民館職員の仕事』片野親義・著(ひとなる書房)を手に取りました。
 著者の片野氏は、埼玉県浦和市(現、さいたま市)で長年、社会教育行政に従事した方ですが「さいたま市の地区公民館は、有料規定を持ったことがなく、それは、公民館が日本国憲法の理念に裏付けられた国民の学ぶ権利を保障するための社会教育機関であり、学びあい、交流しあい、連帯しあいながら地域を作る主体を形成する拠点として位置づけられている公民館は無料でなければならないというのが、さいたま市の基本的な考え方になっているためだ」と説明されていました。無料の状態を支えるのは、職員と住民が「公民館を考える講座」や「公民館を考える集い」などを開いて、公民館について学ぶ機会を大切にしてきたことにあるようです。目からウロコの話です。尾張旭市では有料にしていますが将来的に無料にすることができないか検討されても良いと思います。

背景の異なる施設を同一の料金体系で考えて良いか

 国民の学ぶ権利を保障する社会教育施設として公民館をとらえると、面積や受益者負担の考えを統一した基準で、料金を値上げするという考え方に、疑問がわいてきます。
 公民館使用料の値上げを含む第51号議案には、公民館(社会教育施設)の他に、どうだん亭(文化財)、文化会館(指定管理者による管理)が一緒になっていますが、これらの性格の異なる施設を、今年5月に市が策定した「公共施設使用料の見直しに関する基本方針」で統一して考えるのは、乱暴な議論ではないでしょうか

減免規定が決まっていない

 料金値上げとともに、減免規定の見直しも検討されていると聞きますが、こちらは結論が出ていない様子です。料金の値上げをする上に、これまでの減免規定も見直しが図られるということになると、施設を使ってサークル活動を行っている諸団体は、どう受け止めるでしょうか?
 最近、公民館使用料の値上げや減免規定見直しのうわさを聞きつけ、不満の声が耳に入るようになりました。

料金収入増加以上に失うものは無いのか

 市の健康都市宣言に基づいて、筋トレや健康づくりに取組む地域組織は数多あり、その効果は高齢者の外出機会の創出、健康増進による医療費抑制やフレイル予防など、社会保障費抑制に効果を上げている可能性を否定できません。料金改定で見込まれる使用料収入の増加は左表の通り、総額で1400万円程度ですが、サークル活動がしぼんでいけば、それを取り戻すのは難しいことだと思います。
 2割の値上げに抑制しているという説明もありますが、慎重に考えられたものでしょうか。行政らしさ、自治体らしさを保った検討が求められます。  

 資料3 は、片野氏が現職時代に行った公民館事業をまとめたもので(()内は、今ならこのような取組はどうかという提案)、それを、戦後間もない時期に公民館を構想した寺中作雄(文部省公民教育課長、後に社会教育局長『公民教育の振興と公民館の構想』)が公民館の設置目的に挙げた3つの理由に事業を分類したもので、今後、尾張旭市で社会教育を充実していこうと考えたとき、参考になるのではと考え、ここに引用しました。
 戦後間もない時期の、日本国憲法制定熱があるころの構想だと思うと、民主主義や平和主義を国民に定着させようとする意気込みのようなものを感じる構想のようにも思われます。

※ ネット上では、この画像(資料3)は掲載していません。

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