活動紹介−議会活動

【14.02.10】 不適切な随意契約1000件 独自調査

 昨年9月議会で明らかとなった、市の随意契約にからむ問題で、
議員に提供された資料から傾向を分析してみました。

 市が発注する際、見積もりを2社以上からとるべきものを、
横着して1社に他社の見積もりも依頼するという方法で、
事務の簡素化(この表現もどうかと思いますが)を図っていた問題です。

概要については、市のホームページもご覧にただければと思います。
http://www.city.owariasahi.lg.jp/sisei/kakuka/20131122zuikeifutekisetujimu.html


こうした市の不適切な事務により、
市内業者2社が他社の見積書を偽造していたことが明らかになりました。

見積書偽造は許されるものではありませんが、
それに手を染めるに至った背景に、
市の事務の『まずさ』があることは間違いなく、
そうした土壌を作ってしまった市の責任は重いと考えます。

取材に来ていた新聞記者は
「どこの自治体でもやっていることですよね」
と言っていましたが、だからといって市が免罪されるものでもありません。
(昨年12月議会で、管理責任として、市長、副市長の3ヶ月の減給を行いました。)

市の調査は、随意契約を受注した業者と、相見積を提出した業者、
双方からの聞き取りを行うもので、
2012年4月〜2013年9月の期間の随意契約が対象です。

私は、このうち2012年度の資料を、独自に分析、検討しました。

回答の判例

表の中で、回答として用いられている略号(アルファベッド)の意味は、以下の通り。

受注者側回答
A そのつど見積書をもらって、一緒に提出した。
B 白紙の見積書を預かっている。
C その他(個別事由)
D 協力できない
E 覚えていない

相見積先回答
F 知っている。そのつど、契約業者さんに見積書を頼まれて、渡していた。
G 白紙の見積書を預けてあり、その見積書を使用して提出したことを知っている。
H 白紙の見積書を預けてあるが、その見積書を使用して提出したことは知らない。
I 全く知らない。
J その他
K 協力できない。
L 覚えていない。

受注していない、相見積先回答には「覚えていない」
という回答が多いかと思っていたのですが、ほとんどありませんでした。

普通に、異常な事務を長年やっていたことの現れのように思えます。

検討1 市内業者と市外業者で集計してみる(表1)

受注者回答がA(そのつど見積書をもらって、一緒に提出した)、
相見積先回答がF(そのつど、契約業者さんに見積書を頼まれて、渡していた)
の組み合わせは、両者の回答に整合性があり問題は無いとされたもの。

受注者回答がB(白紙の見積書を預かっている)、
相見積先回答がG(白紙の見積書を預けてあり、その見積書を使用して提出したことを知っている)

または、
受注者回答がB(白紙の見積書を預かっている)、
相見積先回答がH(白紙の見積書を預けてあるが、その見積書を使用して提出したことは知らない)

の組み合わせも、両者の回答に整合性があるものの、行政の仕事ぶりが不正常な慣習(白紙の見積書を預ける)を誘引していたと言える。

独自集計から、
白紙の見積書を預けるという慣習が、市内業者どうし、
または、
市外業者どうしの組み合わせでしか起きておらず、
市内と市外の組み合わせは見られなかった。


受注者のB〜Eの回答は、
市内・市内の組み合わせでは、随意契約457件中、34件(7.4%)
市外・市外の組み合わせでは、162件中、12件(7.4%)で、有意な差は見られない。

市内・市外、または、市外・市内の組み合わせでは、
81件中2件(2.5%)で、低くなっている。
表1・表2

検討2 相見積を複数社からとったか否かで集計してみる(表2)

表2は、相見積先が1社のみか2社以上かで、回答を集計したものである。
(表1と、表2で回答数に差があるのは、表1に、相見積先を市内と市外、1社ずつ出しているものを除外したことによる。)

一対多の組み合わせは、413件のうち、B〜Eの回答が4件(0.97%)。
一方、一対一の場合、293件中44件(15.0%)と、高い割合になっている。

相見積先回答も、受注者・相見積先の組み合わせが、
市内・市内、または市外・市外の場合に、
不正常さを感じるG〜Lの回答が集中している。

市内・市内の場合、772件中36件(4.7%)
市外・市外の場合、235件中14件(6.0%)

市外の相見積先の回答は、L「覚えていない」、J「その他」、K「協力できない」の回答が市内業者よりも多い。

検討3 白紙の見積書を渡している業種

白紙の見積書を預かっているものを、件名(発注内容)別に見ると以下の通りで、工事関連は見当たらず、物品関連に見られる。

 

今回の独自集計でわかったことは、
不正常と思われる見積もりが、
どのような組み合わせで起きやすいか傾向を出したにすぎません。

市が見積もりを依頼する際に参考になるかもしれませんが、
そもそも市が不適切な事務処理を行わなければ起き得ない問題で、
意味のある集計なのかどうか自信もありません。

結果からは、
相見積を頼む業者が、3社以上あったほうがよい。
市内と市外の組み合わせの方がよい
ということになりますが、

そもそも、市が横着していなければ、こんな検討は不要なのです。

なお、2012年度(H24)の随意契約総数は3338件で、
このうち不適切な見積もり徴収(受注業者に他社の見積もりも依頼する)は706件(21.2%)。
(1107件というマスコミ報道は、市が調査した2013年前半分も加えた数。)
このうち、AとFの組み合わせを除いたものが48件(総数の1.4%)です。

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