活動紹介−議会活動

【11.06.29】民間平均給与 年間400万円とは…

正当性のない比較

 民間給与が年間400万円で、それと比べると公務員の給与は高すぎる。ちまたで言われる、この議論に正当性は無いと思う。

 年間400万円の出所は、おそらく「国税庁長官官房企画課が発行している、平成21年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告」で、現在インターネット上で、平成23年3月10日付け更新版を入手できます。

 その資料中のグラフ「(第12図)年齢階層別の平均給与」を見て、真っ先に思ったのは、全年齢を通じて低い、低すぎる女性の給与です。

 また、この統計資料は、1年を通じて働いた人の給与を調査したもので、時間給で働く人たちも含まれています。
 今どき、公務員というのは、ほとんど大卒・短大卒で、この統計では学歴による差額を無視していること。年齢も、公務員の年齢がおよそ20歳?60歳なのに、比較対象とならない年齢も合算した資料であることなど、比較対象として無理のある資料を用いて論じては、まともな議論にならない。


平成21年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告
平成22年9月
国税庁長官官房企画課
民間給与の実態調査結果(全データ)(PDF/4,277KB)(平成23年3月10日更新)
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2009/pdf/000.pdf
年齢階層別の平均給与

議員報酬2割削減は否決

6月の尾張旭市議会では、議員報酬を2割カット!という提案が、他党の議員から提案されました。民間は400万だから、2割削してもまだ160万円の活動経費がある。それで十分だとする内容で、震災で国からの予算が削られるから、議員報酬削減で少しでも予算を確保するのだと、かっこよく聞こえます。

 でも、ちょっと待って欲しい。議会全体としての雰囲気は、削減を否定はしていないけれど、十分議論をしようと提案者を諭していたのだが、玉砕覚悟の提案で、彼の提案はパフォーマンスにしか見えない。
 結果は、賛成4・反対16で否決となりました。

川村つよしの反対討論

日本共産党の川村つよしです。議長のお許しを頂きましたので、
私は、議員提案第1号 尾張旭市議会の議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の特例を定める条例の制定について
反対の立場から討論をいたします。

 本議案は、尾張旭市の議員報酬を2割削減するというご提案ですが、私が行った議案質疑と昨日の議会運営委員会での議論を踏まえ、削減後の議員報酬約560万円のうち、400万円程度を生活費とし、残りの160万円を議員活動経費に充てることが可能な費用として検討されていると受け止めております。
 昨日の議論をお聞きしていて、あらためて思いましたが、議員報酬の適正額というのは、たいへん難しい議論で、論点もきりが無いように思いますが、今後、ありかた検討会で議論がされてゆくであろうことや、討論者も多数いることを考え、短めの討論にしておきたいと思います。

 今回の提案で、どうしても気になっていたのが比較対象としてあげられた、民間の平均給与、年収400万円です。どうも感覚的に少なすぎます。なぜ年収400万円が平均だと言われることに無性に違和感を抱いてしまうのか、その金額と尾張旭市議会の議員報酬が比較されることに困惑してしまうのか、自分でも不思議に思っていたのですが、先日ようやく気づきました。
 年収400万円という数字は、30代前半の男性が、結婚相手をお見合いで探そうとすると、かなり苦戦する水準のはずだからです。年収400万円の出所を、あらためて調べてみました。

 国税庁長官官房企画課が発行している、平成21年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告、これはインターネット上では、平成23年3月10日付け更新版を入手できますが、
PDFファイルで174ページあります。その15ページ、私が紹介するページ数はPDFファイル上のページ数で、印刷物にした場合のページ数とは異なりますが、その15ページには、確かに、
「1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は406万円」という記述があります。昨日の議論で、給与の定義について疑問もでていましたので、引用して、付け加えておきますが、ここで言う給与とは、

平成21年における1年間の支給総額(給料・手当及び賞与の合計額をいい、給与所得控除前の収入金額である。)で、通勤手当等の非課税分は含まない。
としています。いわゆる年収として考えて良いと思われます。

 では、平均給与406万円とする内容ですが、いったいなぜ私が違和感を感じるのか、同統計調査の、21ページにあるグラフ、(第12図)年齢階層別の平均給与を見て、ようやく納得できました。

 議員報酬と比較するには、406万円は不適切だと思われます。

 このグラフを見て、最初に私が思ったのは、全年齢に渡って低い、低すぎる女性の給与です。いかに日本の女性が収入面で差別を受けているのか、一目瞭然です。議員としては、まず、これを問題にすべきだと思います。

 日本の社会は、住宅や教育費の負担を家計が担う仕組みになっていますが、男性の収入が年齢を追うごとに増えてゆくことでそれを担保してきたと言えると思います。言い換えれば、男性の収入が、年齢とともに増えなければ、成立しない社会構造になっているのです。

 全体の平均収入が、406万円だからと言って、それに合わせてしまえば、一部に被選挙権の行使に制限を受ける階層が生じると考えます。
 だいたい、尾張旭市の議員の職責が、子孫を残すことが難しくなるような収入と比較されるような水準なのか?甚だ疑問です。

 議員報酬と比較するのであれば、まず被選挙権を持たない25歳未満の階層を除外する必要を感じます。
 男女の賃金格差を当然視するつもりは全くありませんが、男性の平均給与をもって議論すべきではないでしょうか?

 仮に、提案者の説明であった、400万の生活給、160万円の活動費とするなら、男性の平均給与500万円に、160万円を足せば、660万円。これには(被選挙権を持たない)25歳未満も含まれていますから、現在の議員報酬はほぼ妥当ということもできます。
 どの年齢階層でも、160万円の活動費とするなら、一番高額の階層、50歳?54歳の男性の629万円を用いると789万円。
 様々な視点・角度から行政をチェックする必要が市議会にはあるのですから、どの年齢でも議員活動がしっかりできるように担保するならば、この統計から議員報酬は増額すべきだという議論も成立するのではないでしょうか?

 議員報酬の削減について、議論をするように選挙前に私は議長に口頭で申し入れました。
 議論をするべき市議会で、それがなされないまま、今回のように、震災だからと安易に報酬削減を行えば、議会の思考停止になってしまうのではないかとも思います。

 最後になりましたが、東日本大震災の被災者支援と復興が早期に進んでゆくことを私も願っています。もし議員諸兄の皆さんで、議員報酬が多すぎるとお考えで、生活に余裕のある方は、是非とも、市の社会福祉協議会や震災募金に、匿名でご寄付をされることをお願いして、討論といたします。

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