活動紹介−旭民報議会活動

【08.08.21】 旭民報473号 介護保険 尾張旭の問題点は?

介護保険 尾張旭の問題点は?

 来年(09年)4月、介護保険は3年ごとの見直しが行われます。
これまでの見直しでは社会的な支援を必要としていても、必要なサービスが受けられない「介護難民」を生み出すなど、制度の改悪が強行されてきました。

 市は、来年の見直しに向けてアンケート調査を行い、集計結果が7月29日に配布されました。
 記入された自由意見などを読むと、市が高齢者施策において目指している「お年寄りの笑顔輝く思いやりのまち」がむなしく思えてきます。

当市での問題点を考えてみます。

なお、PDF版はこちらです→旭民報473号

保険料・利用料負担はもう限界

?アンケート自由記入欄から?
◎介護保険料について
 ●月10万円あるかないかの年金から、高い保険料をとるなど高齢者いじめです。
 ●老人に負担のかからないようにしてほしい。税金、介護料が年々あがっています。
 ●介護保険料、一度に激高で驚いています。
 ●介護保険料の第4段階には年金月額が4万円に満たない人も含まれています。細分化をお願いしたい。
 ●尾張旭市も介護保険料の6段階を10段階にして所得の多い層の引き上げをすべきと思います。
 ●今月で満65歳となり会社を退職しました。保険料は妻と合わせて約4倍の負担となり、年金生活突入と同時に負担増は納得できません。
 ●国民年金のみの収入で、4000円の保険料は高すぎると思います。
 ●保険料が高いので困ります。
 ●65歳以上の介護保険料の負担が多くて年金生活者にはつらいです。

◎利用料について
 ●デイサービスの食費の値上がりが負担です。
 ●希望としては保険料を安く、利用者負担が増えても良いのでもっと利用しやすくしてほしい。
 ●デイサービス6時間強で、9000円以上というのは負担が大きくて大変です。
 ●介護サービスの利用を増やせば自己負担も多くなり経済的に困ります。

報酬引き上げは急務

 今回の見直しで最大の焦点となっているのが、「介護報酬の引き上げ」です。
 介護・福祉分野の人材不足問題は、広く認識されるようになりました。
 給料が安すぎて働き続けられなくなってしまった主因は、これまで見直しの度に下げ続けられた介護報酬にあります。
 まともな給料が支払われるようにすることは当然ですが、これを理由に保険料や利用料が引上げられてはいけません。

 アンケート結果でも、保険料・利用料の高負担を訴える声は大勢です。千代田区のように独自に補助をする自治体もあり市も参考にすべきです。

国の負担割合を2倍に

 介護保険導入前、介護に占める国庫負担の割合は50%でした。それを導入を契機に半分、25%へ国の負担割合を下げました。
 いますぐに国の負担を50%に引上げるように!全国市長会なども求めていることです。

計画的に国庫負担を引上げ、高齢者の生活を支える訪問介護にすること、
施設を整備し入所待機者の解消を図ること、
保険料・利用料の減額・減免を行うことなど、
安心できる介護保険に変えさせてゆくことがどうしても必要です。

国の指導を盾にする市の姿勢

 減免制度の障害となっているのは、国の指導です。
 ?保険料の全額免除は駄目
 ?資産審査なしの一律減免は駄目
 ?一般会計からの繰入れは駄目

 これらの三原則を守るように厳しく自治体を指導していますが、介護保険は「自治事務」で、国の指導に法的な拘束力が無いことは国会答弁でも確認されています。

 法的拘束力の無い国の指導に対し、どう挑むのか、市の行政姿勢として強く問われている課題です。

貯まった基金どうする?

 介護保険の事業計画は、3年間の事業量を積算して保険料を算出します。
高齢者人口の増加により、必然的に1年目よりも2年目、3年目の事業量が多くなります。
 このため、1年目に基金を貯めて、2年目はトントンで、3年目は1年目の貯金で、3年間の収支をならします。
 現在、介護保険は第3期ですが、1期、2期のときは、あまりズレは生じませんでした。
 3期目の現在、大きく目論見は外れています。全国的な傾向です。

 尾張旭市では、3期目の1年目年度末(06年度末)で、約9600万。
2年目年度末(07年度末)で、約2億1200万円の基金です。
 見込み通りなら、2年目はほとんど基金が増えないことになりますが、1年目よりもさらに1600万円多く基金を増やしました。
 背景には主に軽度の介護認定の方から「介護とりあげ」を行い、必要な介護サービスを提供しなかったことにあります。

 埼玉県三郷(みさと)市のように基金を用いて介護保険料の引き下げを行った自治体もあります。介護サービスの充実に使うことも合わせて検討してゆく必要があります。

再び、アンケート自由記入欄から

 再度、アンケートの自由記入欄から、介護とりあげの影響を感じたものをいくつか紹介します。
 ●尾張旭市の認定はすごく厳しいと聞いています。もう少し、細かく認定のチェックをしていただきたいです。
 ●体の欠陥が多く、生活の楽しさが無くなってきているのに介護の段階が要支援となって、介護手当が軽くなったことです。
 ●…今左手左足がしびれ痛いですが、リハビリをしっかりやればもっと良くなると思います。昨年9月介護改正でがらりと変わり、週2回しかリハビリに行けません。以前のように行ける回数を増やしてもらえないでしょうか。
 ●要支援でもショートステイを可能にしていただきたい。…他市の要支援でもショートステイが可能というのを尾張旭市も取り入れていただきたいと強く願っています。
 ●ベッドを借りているのですが、3月で返して下さいと通知が来ました。90歳の母が利用しています。介護2です。もう少し老人の事情を考えて欲しいです。

 アンケートの意見には、感謝を表わすもの、肯定的なものもありました。
 しかし、現在介護保険が向かっている方向は、「介護の沙汰も金次第」。

 お年寄りの笑顔も、介護者(家族や従事者)の笑顔も消し去る方向です。

 もともと介護保険は、社会で介護を支えると言っていました。ところが、相変わらず苦しんでいる家族は多く、むしろ導入時よりひどくなっているように思えます。

 いま、後期高齢者医療制度や、療養病床削減に代表される、自民公明政権の医療政策への怒りが広がっています。

 高齢者を病院や医療現場から追い出すことが、自民公明の医療政策のねらいであるため、おのずと、その「受け皿」となる公的介護制度にも関心は高まります。

 政府の側は、医療改悪の「受け皿」に介護保険を専念させようと、軽度者や生活援助の切り捨てに力を入れています。

 この構図で起きる「介護取り上げ」によって、高い保険料だけ取られ、いざというときに必要な介護すら受けられない介護保険になります。
 根本は国の政治を変えるしかありませんが、国の言い分を盾に目をつむっている市の姿勢も改めさせなければなりません。

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